お産は自然分娩が中心です。「本来お産は病気ではない、人間の生理的な営みの一つ」であるという根本的な考え方がそこに存在しているからです。もちろん安全なお産がまず前提となり、妊婦さんとその家族の皆さんに満足していただける、納得していただけるそして心あたたまるお産が目標です。そのためにお産する人々が主体的に振る舞うことができ、緊張せず、いろいろな希望がかなえられるような環境作りが行われています。お産中は妊婦さんが好きな様々な体位(フリースタイルと呼ばれる)がとられ、家族は陣痛開始から分娩まで妊婦さんの傍にいて、ずっと励ますことができます。今後の日本のお産のあり方の新たな一歩が今この鎌倉で始まっています。婦人科は様々な腹腔鏡下手術、子宮筋腫における子宮動脈塞栓術を含む選択できる治療、婦人泌尿器領域での性器脱や尿失禁などで苦しむ人々への保存的医療から低侵襲性の手術療法、そして婦人科の悪性腫瘍に対しても積極的に取り組んでいます。これらの分野にもいつも患者さんの気持ちをくみながら、疾病に対する新たな挑戦を行っています。
これだけ科学が進歩した現在でも、お産領域はいまだわからない事が多いのです。ですから基本的には妊婦さんからの声に耳を傾け、お産をする皆さんと一体となって今どんな助けが必要とされているかを少しでも早くキャッチし、皆さんのお役にたとうと思っています。助産婦外来を始めとして、お産の多くは助産師がサポートをしていますが、皆さんがもてる力をうまく出せるようなケアが目標です。もちろん異常事態には最新の医療を提供できるよういつも努力しています。
婦人科は幅広く様々な疾患に対する取り組みがなされている。低侵襲性の腹腔鏡下手術や子宮鏡下手術は現在標準的手術になってしまいました。救急疾患にもこれらの技術は利用されています。子宮筋腫は子宮動脈塞栓術を含め、あらゆる治療法が選択できるよう心がけています。日帰り手術センターも上手に利用してほしいと思います。現在卵巣のう腫患者の25%前後は手術当日帰宅を希望していますし(日帰り)、抗癌剤治療も場合によっては日帰り治療が行われています。
お産のヒューマニゼーションは人類の願いでもあります。過去10年以上にわたる産科領域の見直しは世界的な流れで、その流れが日本でも早いうちに鎌倉でも始まりました。これからも「本来のお産」の追求が行われ続けるだろうと思います。
高齢社会になり子宮脱や尿漏れで悩む女性の割合が増えています。そのような方々への治療も進歩し、手術手技も低侵襲性になりつつあります。例えば尿失禁と性器脱手術は腹腔鏡下手術という世界的な大きな医療の改革の波がありましたが、今又メッシュを使用した様々な工夫された手技を利用する第2回目の医療の改革の波がおきています。これらの手術も日帰り又は短期間の入院で治療できる可能性がでてきており、皆様にとっては数年前と違ってかなり負担の少ない治療が行われるようになりました。
■木幡 豊 宮崎大学
産婦人科部長、日本産科婦人科学会専門医、日本産婦人科内視鏡学会、
医学博士
■日下 剛 北海道大学
産婦人科部長、日本産科婦人科学会専門医、日本周産期学会、
日本不妊学会、日本人類遺伝学会、周産期学、医学博士
■栂野 春奈 京都府立医科大学
日本産科婦人科学会専門医、日本周産期・新生児学会、日本化学療法学会、
母体保護法指導医、産婦人科
■大林 美貴 徳島大学
日本産科婦人科学会
■関口 由紀 山形大学 (非常勤)
日本泌尿器科学会、医学博士
■槍澤 ゆかり 岩手医科大学 (非常勤)
日本産科婦人科学会専門医、日本思春期学会、医学博士
■山本 謙二 防衛医科大学校 (非常勤)
日本産科婦人科学会専門医、日本癌学会、日本癌治療学会、
日本婦人科腫瘍学会、婦人科悪性腫瘍、医学博士
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