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当院での治療方針~大腸がん~

はじめに

当院では患者さんそれぞれの病状にあわせて 消化器病センター(消化管内科)・外科・放射線科・オンコロジーセンターの医師が もっとも適切と思われる治療を選択いたしております。また、この治療法はひとりの医師の独断ではなく、Cancer Boardと呼ばれる院内の治療方針を決定する カンファレスにて検討の上で皆様に提供することになっています。

大腸がんの治療については大腸癌研究会より 「大腸癌治療ガイドライン2014年版」「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン」(金原出版) が出版されており、最新情報については大腸癌研究会のホームページで見ることができます。当院の治療も基本的にこのガイドラインに則り最新の情報に基づいた治療を行っております。

大腸がん治療アルゴリズム

早期がんの治療

がんが粘膜内にとどまっている、もしくは粘膜下層にわずかに浸潤した早期癌に対しては内視鏡的切除が可能です。従来内視鏡的粘膜切除術(EMR)では 2cm程度の大きさのものまでが適応とされてきましたが、器具の開発と技術の進歩により、粘膜下層剥離術(ESD)という手法が可能になりました。このためこれまで内視鏡による切除が困難であったものであっても、治療が可能な場合があります。大きさや部位により困難な場合もありますので、詳しくは消化器内科までお問い合わせください。

内視鏡的に切除が困難な場合には外科にて手術的切除を行います。手術の場合には腹腔鏡下切除を原則としていますが、過去に開腹手術を受けたことがある方、心肺機能が低下している方など腹腔鏡下手術が困難な場合もあります。腹腔鏡手術は傷口が小さく体に対する負担が少ない手術として注目されていますが、高度の技術が要求され、手術時間も長くかかる傾向にあります。当院では日本で初めて腹腔鏡下胆のう摘出術の日帰り手術を行った実績があり、多くの腹腔鏡下手術の経験と実績があります。詳しくは外科までお問い合わせください。

進行がん(切除可能)の治療

がんが粘膜下層以深に浸潤している場合は外科にて手術的切除を行います。リンパ節郭清を伴う開腹手術が基本となります。がんの深達度(がんがどの程度まで食い込んでいるか)・リンパ節転移の状況・合併症の有無などにより手術侵襲と根治性を評価した上で術式を選択しております。詳しくは外科までお問い合わせください。

手術できちんと取り切れた場合でも残念ながら再発する可能性があります。その部位は手術を行った局所だけでなく肝・肺など 他臓器に広がることも少なくありません。再発したがんのほとんどは治癒することなく、いずれかはがんで命を落とすことになります。 そのためいかに再発しないように治療していくかが重要になります。

1980年代より手術のみで経過を見る場合とフルオロウラシルを中心とした薬剤を術後に点滴する治療を比較する研究が数多く行われてきました。それらの研究結果より術後にフルオロウラシルを半年間投与することで生存の改善が得られることが示されました。

スケジュールには毎週投与する方法や、月1回5日間連続投与する方法などあります。この化学療法を行うことにより、大腸癌の再発を22%、死亡を18%減らすことがわかっています。(Lancet 370(9604):2020-9,2007)また投与期間は半年でも1年でも効果が変わらないことが証明されているため、半年間行うことが標準になっています。(JCO 23(34):8671-8,2005)

海外においてはこのフルオロウラシルの点滴をユーエフティ+ロイコボリン内服に置き換えた治療(J Clin Oncol 24(13):2059-2064,2006)、カペシタビンに置き換えた治療(N Engl J Med 352(26):2696-704,2005)が同等の効果であるとの報告がなされています。国内においてもフルオロウラシルの点滴をユーエフティ+ロイコボリン内服に置き換えた治療(Eur J Cancer 50(13):2231-2240,2014)、S-1に置き換えた治療(ACTS-CC:Ann Oncol 25(9):1743-9,2014)が同等の効果であると報告されており、現在再発予防の内服治療として3種類の選択肢があります。

また、さらなる再発予防を期待して進行大腸癌で用いられるオキサリプラチンを併用した術後化学療法があります。フルオロウラシルとオキサリプラチンを併用したFOLFOX療法を術後に半年間行った場合,、フルオロウラシルのみによる治療と比較し再発のリスクを22%、死亡のリスクを15〜20%減少させると報告されています。(NSABP C-07試験:J Clin Oncol 25(16):2198-2204,2007、MOSAIC試験:J Clin Oncol 27(19):3109-3116,2009)また、カペシタビンの内服とオキサリプラチンの点滴による2種類の抗癌剤治療の場合では、フルオロウラシルのみによる治療と比較して再発のリスクを20%、死亡のリスクを13%低下させたと報告されています。(XELOXA試験:J Clin Oncol 29(11):1465-71,2011)

このため、日本における標準治療として、病期IIおよび病期IIIの患者さんを対象に再発予防のために抗癌剤治療を行うことがすすめられています。当院では病期II期の一部の方(閉塞・穿孔による緊急手術、周囲への高度の浸潤があった場合など)および病期IIIの患者さんには内服、病期IIIのうち多数のリンパ節転移があった患者さんには点滴を併用した治療(多くの場合はXELOX療法です。)をおすすめしています。ただし、それぞれの治療で副作用が異なりますのでよく相談して決める必要があります。

毎月抗癌剤処方する前には診察と血液検査を行い、抗癌剤投与が可能かどうか判断します。また、抗癌剤治療は経過中に再発を認めた場合や、強い副作用が認められた場合は中止します。抗癌剤治療の継続を希望しない場合にも中止することが出来ます。

UFT/LV療法

UFT(商品名:ユーエフティカプセル、顆粒)という抗癌剤に治療効果を増強させる作用のあるロイコボリン(商品名:ユーゼル錠など)を併用して治療します。2剤を1日3回内服します。28日間(4週間)連続で服用し、その後7日間(1週間)服用を休みます。これを1サイクルとして繰り返します。この治療を全部で5サイクル(術後6ヶ月)継続します。

代表的な副作用として骨髄抑制の他下痢などの消化器症状が見られます。副作用の詳細については進行癌の薬物療法の項目をご参照ください。

UFT/LV療法

カペシタビン療法

カペシタビン(商品名:ゼローダ)という抗癌剤を投与します。ゼローダは1日3回内服します。14日間(2週間)連続で服用し、その後7日間(1週間)服用を休みます。これを1サイクルとして繰り返します。この治療を全部で8サイクル(術後6ヶ月)継続します。

代表的な副作用として骨髄抑制の他手足症候群などの皮膚症状が見られます。副作用の詳細については進行癌の薬物療法の項目をご参照ください。

S-1療法

S-1(商品名:ティーエスワン)という抗癌剤を投与します。ティーエスワンを1日2回内服します。28日間(4週間)連続で服用し、その後14日間(2週間)服用を休みます。これを1サイクルとして繰り返します。この治療を全部で4サイクル(術後6ヶ月)継続します。 

代表的な副作用として骨髄抑制の他下痢・悪心嘔吐・口内炎などの消化器症状が見られます。副作用の詳細については進行癌の薬物療法の項目をご参照ください。

FOLFOX療法

フルオロウラシルとオキサリプラチンを併用して点滴による治療法です。オンコロジーセンターにてオキサリプラチンとフルオロウラシルの効果を増強するレボホリナートを同時に2時間かけて点滴します。この投与が終わった後に5-FUを3分間で点滴し、最後に携帯型輸液ポンプを用いて5-FUを46時間かけて点滴します。

この方法では治療開始から終了まで約48時間(2日間)かかります。末梢の血管からの投与では日常生活に負担がかかるため、投与を継続する場合には「皮下埋め込み型中心静脈輸液ポート」を留置し、ここから抗癌剤の投与を行います。外来で治療する場合には、携帯型輸液ポンプでの投与が開始した時点で帰宅していただき、46時間の5-FU持続投与が終了した後はご自宅で抜針・消毒を行っていただきます。(ご自宅での処置に不安がある場合にはオンコロジーセンターで看護師により抜針することも可能です。)

この治療を2週間に1回行い、術後半年間(全12回)投与します。この治療はフルオロウラシル・レボホリナート療法と比較し、再発を20%低下させることが証明されています。(J Clin Oncol 27(19) : 3109-116, 2009)一方で、末梢神経障害(しびれ)といった副作用を認め、治療の継続が困難になる場合も少なくありません。

XELOX療法

前述のFOLFOX療法はポートの埋め込み、自宅での抗癌剤管理が必要であることから治療に当たり若干の手間がかかります。このフルオロウラシルの点滴を内服に置き換えた治療がXELOX療法です。

カペシタビン(商品名:ゼローダ)という内服の抗癌剤とオキサリプラチン(商品名:エルプラットなど)という点滴の抗癌剤を組み合わせた治療です。オキサリプラチンを1日目に点滴し、カペシタビンを14日間内服します。その後7日間休薬します。これを1サイクルとして3週毎に8回(半年間)繰り返します。

代表的な副作用として骨髄抑制の他手足症候群などの皮膚症状、手足のしびれなどが見られます。副作用の詳細については進行癌の薬物療法の項目をご参照ください。

当院では、治癒切除後のstage IIIBおよび、転移巣も含めて肉眼的に完全切除ができたstage IVの方を対象に行っております。

進行がん(遠隔転移例)の治療

残念ながら遠隔転移を認める場合には多くの場合には完治は望めません。治療の目的は延命・症状緩和になり、通常は手術を行うことはなく抗がん剤治療が主役となります。ただし、大腸癌においては遠隔転移巣・再発巣が手術手完全に切除できる場合には積極的に切除を行います。

手術治療について

局所再発(以前手術した部位にまたがんが発生した場合)に対しては再手術が可能な場合もありますが、通常は手術が困難な場合が多く薬物療法が治療の中心になります。しかし、完全に切除が望める場合には転移巣に対しても根治的手術を行います。この場合にも多くは術前後に抗癌剤治療を併用します。

また、完治が困難であっても、「食事がとれない」、「腸閉塞で吐いてしまう」 といった症状がある場合には、症状を改善するために手術を行うことがあります。ただし、この場合はかなり進行した状態ですので、手術のリスクも大きなものとなります。本人の体力や合併症などを十分に検討したうえで、適切な手術を検討しています。がんによる通過障害に対しては手術の他に、内視鏡でステントを留置することができる場合もあります。詳しくは外科・消化管内科でご相談ください。

放射線治療について

局所再発や転移した部位に対し、根治を目的とした放射線治療を行うことは通常はありません。出血や痛みなどがんによる症状を和らげるために放射線治療を行う場合があります。当院では放射線治療専門医によるトモセラピーを用いた治療が可能です。

薬物療法について

大腸がんが再発・転移した場合には抗がん剤治療が治療の中心になります。抗がん剤には延命効果もありますが、副作用もあります。 ですから本人の体調に合わせて適切な治療法を選択することが大切です。 当院では80歳ぐらいまでの患者さんであれば、体調がよい方であれば治療を行っています。

大腸がんの抗癌剤治療を行うに当たり、がんの性質を調べた上で薬剤を選択します。大腸癌の一部の方ではがん細胞の遺伝子であるRAS遺伝子に異常が見られます。このRAS遺伝子に異常が見られる変異型の場合にはEGFR抗体と呼ばれるセツキシマブ(商品名:アービタックス)、パニツムマブ(商品名:ベクティビックス)が無効で、投与をするとかえって予後が悪くなることが示されています。

毎回の抗がん剤治療の前には診察と血液検査を行い、その日の抗癌剤投与が可能かどうか判断します。また、抗がん剤治療は治療効果が得られず病気が進行した場合や、強い副作用が認められた場合は中止します。抗がん剤治療の継続を希望しない場合にも中止することが出来ます。オンコロジーセンターには専門の薬剤師がおりますので、副作用対策などお気軽にお尋ねください。

2〜3ヶ月に一度CT検査を行い治療の効果が得られているかを確認します。明らかに治療効果がなく、病気が進行する場合には投与する抗がん剤の種類や組み合わせを変更して治療を継続します。

抗がん剤治療の代表的な副作用をお示しします。

1.骨髄抑
血液を作る骨髄がダメージを受けるため、白血球減少・貧血・血小板減少が見られます。これらにより抵抗力が低下し感染しやすくなったりすることがあります。
2.嘔気・嘔吐
イリノテカンを用いた治療では強くでることがあります。通常はステロイドと5-HT3阻害剤という吐き気止めで対応が可能ですが、吐き気が強い場合にはアプレピタント(商品名:イメンド)と呼ばれる新しい吐き気止めを用いて予防に努めます。
3.粘膜炎
口内炎の他、結膜炎や下痢などの症状がでることがあります。塗り薬やうがい薬などで対処しますが、食事がとれないほどひどくなるときには抗がん剤をお休みしたり、減らしたりすることで対処します。
4.末梢神経障害
オキサリプラチンを使用した場合には手足の先のしびれがでます。特に冷水や冷気で誘発されます。これはオキサリプラチンの投与が増えるほど出現しやすく、症状も重くなると言われており生活に支障が出る場合には旧約が必要になります。
5.脱毛
イリノテカンを含む治療ではある程度の脱毛が見られます。
6.下痢
イリノテカンを含む治療で多く見られますが、すべての抗がん剤治療で見られます。必要に応じ下痢止めを使用します。
7.倦怠感
イリノテカンを含む治療で比較的多く見られます。
8.皮膚障害
カペシタビンの内服などフルオロウラシルを含む治療で手足症候群と呼ばれる手足先の硬結・発赤・水疱・ひび割れなどが見られます。

またEGFR抗体薬のセツキシマブ、パニツムマブでは痤瘡様皮疹というニキビのような皮疹や高度の皮膚乾燥が見られます。

何れも保湿剤の予防的塗布、ステロイド外用剤の塗布にて対応します。

初回治療・2次治療

大腸癌の初回治療・2次治療は、可能な限り通常の細胞障害性抗癌剤(従来の抗癌剤)に新規薬剤である分子標的薬を併用して治療します。

ある程度治療に耐えうる体力がある方に対しては初回治療としてはフルオロウラシル(またはその内服)にオキサリプラチンまたはイリノテカンを併用することが多くなっています。初回治療の効果がなくなった場合には2次治療としてフルオロウラシルと初回に使用しなかった薬剤を併用します。

FOLFOX療法

フルオロウラシルとオキサリプラチンを併用して点滴による治療法です。オンコロジーセンターにてオキサリプラチンとフルオロウラシルの効果を増強するレボホリナートを同時に2時間かけて点滴します。この投与が終わった後に5-FUを3分間で点滴し、最後に携帯型輸液ポンプを用いて5-FUを46時間かけて点滴します。

この方法では治療開始から終了まで約48時間(2日間)かかります。末梢の血管からの投与では日常生活に負担がかかるため、投与を継続する場合には「皮下埋め込み型中心静脈輸液ポート」を留置し、ここから抗癌剤の投与を行います。外来で治療する場合には、携帯型輸液ポンプでの投与が開始した時点で帰宅していただき、46時間の5-FU持続投与が終了した後はご自宅で抜針・消毒を行っていただきます。(ご自宅での処置に不安がある場合にはオンコロジーセンターで看護師により抜針することも可能です。)

初回治療で癌が縮小した割合(奏効率)は54%、生存期間の中央値は20.6ヶ月でした。また代表的な副作用は感覚性末梢神経障害(手足のしびれ)、好中球減少でした。(GERCORによる試験:J Clin Oncol 22(2):229-237,2004)

XELOX療法

FOLFOX療法のフルオロウラシルの点滴をカペシタビン内服に置き換えた治療がXELOX療法です。カペシタビン(商品名:ゼローダ)という内服の抗癌剤とオキサリプラチン(商品名:エルプラットなど)という点滴の抗癌剤を組み合わせた治療です。オキサリプラチンを1日目に点滴し、カペシタビンを14日間内服します。その後7日間休薬します。これを1サイクルとして効果がある限り繰り返します。

ポートの必要がないことから当院ではこのXELOX療法を第一選択にしています

初回治療で癌が縮小した割合(奏効率)は47%(ベバシズマブ併用群を含む)、生存期間の中央値は19.8ヶ月でした。また代表的な副作用は下痢、末梢神経障害、手足症候群、骨髄抑制でした。また、この治療法はFOLFOX療法と同等の効果が証明されています。(J Clin Oncol 26(12):2006-2012,2006)

SOX療法

FOLFOX療法のフルオロウラシルの点滴をS-1内服に置き換えた治療がSOX療法です。S-1(商品名:ティーエスワン)という内服の抗癌剤とオキサリプラチン(商品名:エルプラットなど)という点滴の抗癌剤を組み合わせた治療です。オキサリプラチンを1日目に点滴し、S-1を14日間内服します。その後7日間休薬します。これを1サイクルとして効果がある限り繰り返します。

初回治療で癌が縮小した割合(奏効率)は50%でした。また代表的な副作用は骨髄抑制(好中球減少、血小板減少)下痢でした。(Br J Cancer 98(6):1034-1038,2008)

FOLFIRI療法

フルオロウラシルとイリノテカンを併用して点滴による治療法です。オンコロジーセンターにてイリノテカンとフルオロウラシルの効果を増強するレボホリナートを同時に2時間かけて点滴します。この投与が終わった後に5-FUを3分間で点滴し、最後に携帯型輸液ポンプを用いて5-FUを46時間かけて点滴します。

この方法では治療開始から終了まで約48時間(2日間)かかります。末梢の血管からの投与では日常生活に負担がかかるため、投与を継続する場合には「皮下埋め込み型中心静脈輸液ポート」を留置し、ここから抗癌剤の投与を行います。外来で治療する場合には、携帯型輸液ポンプでの投与が開始した時点で帰宅していただき、46時間の5-FU持続投与が終了した後はご自宅で抜針・消毒を行っていただきます。(ご自宅での処置に不安がある場合にはオンコロジーセンターで看護師により抜針することも可能です。)

初回治療で癌が縮小した割合(奏効率)は56%、生存期間の中央値は21.5ヶ月でした。また代表的な副作用は下痢、脱毛、悪心嘔吐、倦怠感、好中球減少でした。(GERCORによる試験:J Clin Oncol 22(2):229-237,2004)

IRIS療法

FOLFIRI療法のフルオロウラシルの点滴をS-1内服に置き換えた治療がIRIS療法です。S-1(商品名:ティーエスワン)という内服の抗癌剤とイリノテカン(商品名:カンプトなど)という点滴の抗癌剤を組み合わせた治療です。イリノテカンを1日目に点滴し、S-1を14日間内服します。15日目にもう一度イリノテカンを点滴します。その後14日間休薬します。これを1サイクルとして効果がある限り繰り返します。「皮下埋め込み型中心静脈輸液ポート」を留置する必要がないため当院でも多く行われています。

二次治療として癌が縮小した割合は18.8%、生存期間中央値は19.5ヶ月でした。また前述のFOLFIRI療法との同等性が証明されています。(FIRIS試験:Lancet Oncol 11(9):853-60,2010)

イリノテカン

イリノテカン(商品名:カンプトなど)は、植物から半合成した抗がん剤です。 大腸がんだけでなく、胃がん、乳がん、肺がん、 卵巣がんなどでも広く使われています。フルオロウラシルとの併用の他、単剤でも使用されます。代表的な副作用として下痢と骨髄抑制(抵抗力が落ちる、貧血になるなど)があります。 このお薬はあらかじめ患者さんの遺伝子を調べることにより、 副作用が強くでる人と出ない人を前もって知ることができる数少ない抗がん剤です。 当院では、イリノテカンを投与する場合には、患者さんの同意が得られた場合には遺伝子の検査(血液検査のみです。)を行い、あらかじめ投与量の調整を行うことにしています。 検査はすべて保険診療でできます。

イリノテカンは2週間に1回90分かけて点滴します。効果がある限り続けて治療します。

分子標的治療薬

大腸癌においては分子標的薬と呼ばれる新規抗癌剤がいくつか承認されています。初めて認可された分子標的薬はベバシズマブ(商品名:アバスチン)でした。これは血管新生阻害剤と呼ばれる薬剤に分類されます。がんが、浸潤し転移していくためには栄養を十分に得るためにかい血管がたくさん増えて行く必要があります。ベバシズマブは血管内皮増殖因子という血管が増えていく刺激のもとをブロックしてしまい、血管の増殖を抑えることにより間接的にがんの増殖を抑える効果が得られる薬剤です。2007年に日本で承認されました。通常の抗がん剤で見られるような抵抗力の低下や吐き気などは全くありませんが、高血圧・蛋白尿や傷の治りが悪いなどの副作用のほか、まれではありますが消化管穿孔(胃腸に穴が開くこと)も報告されています。

前述のRAS遺伝子に異常が見らない方にはEGFR抗体と呼ばれるセツキシマブ(商品名:アービタックス)、パニツムマブ(商品名:ベクティビックス)を使用することができます。これらは表皮増殖因子受容体といってがん細胞の表面にある増殖のスイッチをブロックする薬剤です。これにより、がんが増殖する信号が伝わらなくなるためにがんの増殖を抑えることができます。セツキシマブは2008年、パニツムマブは2010年に日本で承認されました。これらの薬剤は、ベバシズマブと同様に通常の抗がん剤で見られるような副作用はないのですが、ニキビのような皮疹や爪・皮膚の炎症が見られます。適切なスキンケアを行うことで対処が可能です。

これまでの抗がん剤はがん細胞を攻撃するだけでなく、正常な細胞まで攻撃してしまったため、多くの副作用を避けることができませんでした。最近、副作用を抑えるための様々な治療方法(支持療法と言います。)がわかってきたため、以前より抗がん剤治療はだいぶ楽になってきたように思います。それでも、まだ副作用をなくすことはできていません。

最新の抗がん剤治療である分子標的薬は正常な細胞へのダメージが非常に少なくなっていますが、一方で、予期しなかったような特徴的な副作用が見らます。使用に当たっては十分な経験のある医師の元での治療が必要になってきます。

ベバシズマブ療法

ベバシズマブ(商品名:アバスチン)は通常の抗癌剤と併用して使用します。(単独では効果がありません。)初回治療においても2次治療においても通常の抗癌剤と併用することで生存期間の延長が示されています。

セツキシマブ療法・パニツムマブ療法

セツキシマブ(商品名:アービタックス)、パニツムマブ(商品名:ベクティビックス)は通常の抗癌剤との併用もしくは単独で使用します。通常の抗癌剤と併用することで腫瘍縮小効果の上乗せが示されています。

3次治療以降

これまでに説明した薬剤を中心とした治療をしていてもいつかは抗がん剤が効かなくなってきます。この場合には抗がん剤を変更して治療を継続します。いずれの薬剤を使っても効果に大きな違いはありませんので、薬の特徴と患者さんの病状をみたうえで薬剤を選択しています。

レゴラフェニブ療法

分子標的薬であるレゴラフェニブ(商品名:スチバーガ)は、癌の増殖に関わるいくつかのシグナル伝達を阻害する薬剤です。通常は1回4錠1日1回内服し、3週間内服したあと1週間休薬します。これを1コースとして効果がある限り継続します。

通常の抗癌剤治療で効果が見られなくなった方を対象に、無治療と比較したところ有意に生存を延長することが示されたため承認されました。代表的な副作用は手足症候群、倦怠感、皮疹、高血圧などです。またまれな副作用として発生障害があります。(CORRECT試験:Lancet 381(9863):303-12,2012)

TAS-102療法

TAS-102(商品名:ロンサーフ)は最近承認された抗癌剤です。体格に合わせた量を1日2回内服し、5日間内服2日間休薬、5日間内服16日間休薬で1コースです。これを効果がある限り継続します。通常の抗癌剤治療で効果が見られなくなった方を対象に、無治療と比較したところ有意に生存を延長することが示されたため承認されました。代表的な副作用は好中球減少、倦怠感、下痢があります。(RECOURSE試験:N Engl J Med 372(20):1909-19,2015)

(2016年 4月更新)

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