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当院での治療方針~卵巣がん~

はじめに

当院では患者さんそれぞれの病状にあわせてオンコロジーセンターの医師がもっとも適切と思われる治療を選択いたしております。

また、この治療法はひとりの医師の独断ではなく、Cancer Boardと呼ばれる院内の治療方針を決定するカンファレスにて検討の上で皆様に提供することになっています。

卵巣がんの治療については、日本婦人科腫瘍学会より卵巣がん治療ガイドライン2007年版(改訂版):(金原出版)が出版されており、当院の治療も基本的にこのガイドラインに則った治療を行っております。
卵巣がん治療ガイドラインおよびその解説については、日本婦人科腫瘍学会のホームページでも見ることができます。

卵巣がんの治療

卵巣がんは原則として手術により診断が確定します。
また、がんの種類・分化度や広がりの程度がわかり病期が決定し、その後の治療方針を決めることになります。

病期別の治療

I期(がんが卵巣にだけにとどまっている状態)

手術によってがんの疑われる卵巣を含め切除します。
片方の卵巣卵管を切除する場合と、両方の卵巣、卵管、子宮を切除する方法があります。
大網は部分的に切除します。

後腹膜リンパ節は画像や触診にて転移が疑われる場合に摘出(サンプリング)します。

手術後の顕微鏡検査で卵巣以外にがんがてんいしていないことがわかって、I期が確定し、組織型・分化度によって術後化学療法を追加するか決定します。

II期(がんが卵管、子宮、骨盤内の腹膜に転移している状態)

手術で両方の卵巣、卵管、子宮を転移のある骨盤腹膜を含め切除します。
大網は部分的に切除します。
後腹膜リンパ節は画像や触診にて転移が疑われる場合に摘出(サンプリング)します。

手術後の顕微鏡検査で卵巣以外にがんが転移していないことがわかって、II期が確定した場合は術後化学療法を追加します。

III期(がんが骨盤外の腹腔内に転移しているか後腹膜リンパ節に転移している状態)

IV期(がんが肝臓または腹部以外に転移している状態)

III、IV期のがんは手術によって完全に除去することができません。

手術によって大部分のがんが切除できる場合もありますし、ほとんど取れずに終わる場合もありますが、全身状態が許容できれば出来るだけ多くのがんを切除します。

手術前の全身状態によっては、まず化学療法を行ってがんを縮小させてから手術を目指すこともあります。
術後化学療法を行って残ったがんが縮小し、切除可能となった場合は再手術を行うこともあります。

化学療法

標準的化学療法は卵巣がんの種類によって、TC(パクリタキセル+カルボプラチン)療法または、BEP(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン)療法が選択されます。

TC(パクリタキセル+カルボプラチン)療法

上皮性卵巣がんの標準治療です。
パクリタキセルとカルボプラチンの2種類の抗がん剤を併用し3-4週間ごとの投与する治療です。
外来にて約6時間の点滴により1回の治療を行います。
TC療法を施行することにより切除不能の進行卵巣がんの7割の患者さんの腫瘍が半分に減少した状態が4週間以上継続したと報告されています。

BEP(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン)療法

胚細胞腫瘍といわれる卵巣がんにおける標準治療です。
上記抗がん剤を併用し3週間を1サイクルとして3サイクル以上施行します。
治療には5日間の入院が必要になります。
BEP療法を施進行卵巣がんの9割の患者さんの腫瘍が半分に減少した状態が4週間以上継続したと報告されています。

抗がん剤には延命効果もありますが、副作用もあります。
毎回の抗がん剤治療の前には診察と血液検査を行い、その日の抗癌剤投与が可能かどうか判断します。
また、抗がん剤治療は治療効果が得られず病気が進行した場合や、強い副作用が認められた場合は中止します。

また、抗がん剤治療の継続を希望しない場合にも中止することが出来ます。
オンコロジーセンターには専門の薬剤師がおりますので、副作用対策などお気軽にお尋ねください。

約3ヶ月に一度程度の画像検査にて治療の効果が得られているかを確認します。
明らかに治療効果がなく、病気が進行する場合には投与する抗がん剤の種類や組み合わせを変更して治療を継続します。

抗がん剤治療の代表的な副作用をお示しします。

骨髄抑制
血液を作る骨髄がダメージを受けるため白血球減少・貧血・血小板減少が見られます。
これらにより抵抗力が低下し感染しやすくなったりすることがあります。
倦怠感・嘔気・嘔吐
パクリタキセル、カルボプラチン用いた治療では比較的少ないのですが、シスプラチンを用いた治療では強くでることがあります。
事前に薬剤を用いて予防に努めます。
粘膜炎
エトポシドを用いた治療では強く出ることがあります。
口内炎の他、結膜炎や下痢などの症状がでることがあります。
塗り薬やうがい薬などで対処しますが、食事がとれないほどひどくなるときには抗がん剤をお休みしたり、
減らしたりすることで対処します。
末梢神経障害
パクリタキセルを使用した場合には手足の先のしびれがでます。
パクリタキセルの投与が増えるほど出現しやすく、症状も重くなると言われています。
脱毛
いずれの治療も初回治療2-3週間後からある程度の脱毛が見られます。
下痢
必要に応じ下痢止めを使用します。

パクリタキセル

パクリタキセル(商品名:パクリタキセル注など)は植物から半合成された抗がん剤で、胃がんのほかにも乳がん、肺がん、卵巣癌などで広く使われています。
吐き気が少なくQOLを維持しながら治療するのに使いやすい薬剤の一つです。
代表的な副作用として、脱毛(カツラが必要になります。)や手足のしびれがあります。
手足のしびれはいったんひどくなるとなかなか治らないので注意が必要です。

パクリタキセルは週1回約1時間かけて点滴します。
点滴の成分にアレルギーを起こすことがあるため、投与する前に必ずアレルギー予防の薬を使います。
3回(3週間)点滴したら1回(1週間)やすむことを1コースとして、効果がある限り続けて治療します。

日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、約20%の方で癌が半分以下に縮小しました。
これにより、癌に伴う症状の改善を期待することが出来ます。

パクリタキセル(毎週法)

ドセタキセル

ドセタキセル(商品名:タキソテール)は、前述のパクリタキセルと名前が似ていることからもわかるかと思いますが、同じタキサン系と呼ばれるお薬です。
どうように吐き気が少なく使いやすい薬剤の一つです。
代表的な副作用として、脱毛(カツラが必要になります。)やむくみがあります。

ドセタキセルは3週間に1回約1時間かけて点滴します。
パクリタキセルと比べアレルギーの頻度は非常に低くなっています。
効果がある限り続けて治療します。
日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、約20%の方で癌が半分以下に縮小しました。
これにより、癌に伴う症状の改善を期待することが出来ます。

ドセタキセル(3週法)

イリノテカン

イリノテカン(商品名:イリノテカン注など)は、植物から半合成した抗がん剤です。
胃がんだけでなく、大腸がん、乳がん、肺がん、卵巣がんなどでも広く使われています。
代表的な副作用として下痢と骨髄抑制(抵抗力が落ちる、貧血になるなど)があります。
このお薬はあらかじめ患者さんの遺伝子を調べることにより、副作用が強くでる人と出ない人を前もって知ることができる数少ない抗がん剤です。
当院では、イリノテカンを投与する場合には、患者さんの同意が得られた場合には遺伝子の検査(血液検査のみです。)を行い、あらかじめ投与量の調整を行うことにしています。検査はすべて保険診療でできます。

イリノテカンは2週間に1回90分かけて点滴します。
効果がある限り続けて治療します。日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、約20%の方で癌が半分以下に縮小しました。
これにより、癌に伴う症状の改善を期待することが出来ます。

イリノテカン(隔週法)

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