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当院での治療方針〜胃がん〜

はじめに

当院では患者さんそれぞれの病状にあわせて 消化器病センター(消化管内科)・外科・放射線科・オンコロジーセンターの医師が もっとも適切と思われる治療を選択いたしております。また、この治療法はひとりの医師の独断ではなく、Cancer Boardと呼ばれる院内の治療方針を決定する カンファレスにて検討の上で皆様に提供することになっています。

胃がんの治療については日本胃癌学会より 「胃癌治療ガイドライン第4版」「胃癌ガイドラインの解説」(金原出版) が出版されており、最新情報については日本胃癌学会のホームページで見ることができます。当院の治療も基本的にこのガイドラインに則り最新の情報に基づいた治療を行っております。

胃がん治療のアルゴリズム

早期がんの治療

がんが粘膜内にとどまっている、もしくは粘膜下層にわずかに浸潤した 早期癌に対しては内視鏡的切除が可能です。従来内視鏡的粘膜切除術(EMR)では 2cm程度の大きさのものまでが適応とされてきましたが、器具の開発と技術の進歩により、粘膜下層剥離術(ESD)という手法が可能になりました。このためこれまで内視鏡による切除が困難であったものであっても、治療が可能な場合があります。大きさや部位により困難な場合もありますので、詳しくは消化器内科までお問い合わせください。

内視鏡的に切除が困難な場合には外科にて手術的切除を行います。手術の場合には腹腔鏡下切除を原則としていますが、過去に開腹手術を受けたことがある方、心肺機能が低下している方など腹腔鏡下手術が困難な場合もあります。腹腔鏡手術は傷口が小さく体に対する負担が少ない手術として注目されていますが、高度の技術が要求され、手術時間も長くかかる傾向にあります。当院では日本で初めて腹腔鏡下胆のう摘出術の日帰り手術を行った実績があり、多くの腹腔鏡下手術の経験と実績があります。詳しくは外科までお問い合わせください。

進行がん(切除可能)の治療

がんが粘膜下層以深に浸潤している場合は外科にて手術的切除を行います。リンパ節郭清を伴う開腹手術が基本となります。がんの深達度(がんがどの程度まで食い込んでいるか)・リンパ節転移の状況・合併症の有無などにより手術侵襲と根治性を評価した上で術式を選択しております。詳しくは外科までお問い合わせください。

手術できちんと取り切れた場合でも残念ながら再発する可能性があります。その部位は手術を行った局所だけでなく肝・肺など 他臓器に広がることも少なくありません。再発したがんのほとんどは治癒することなく、いずれかはがんで命を落とすことになります。 そのためいかに再発しないように治療していくかが重要になります。

現在再発予防の治療として2種類の治療法のデータがあります。

一つ目は手術後にS-1という抗がん剤を1年間内服した場合に再発のリスクを38%、 死亡のリスクを33%低下させることが証明されたACTS-GC試験です。(N Engl J Med 357(18):1810-1820, 2007、J Clin Oncol 29(33):4387-4393,2011)

二つ目は手術後にカペシタビンの内服とオキサリプラチンの点滴による2種類の抗癌剤治療を半年間行った場合に、再発のリスクを42%、死亡のリスクを34%低下させることが証明されたCLASSIC試験です。(Lancet 379(9813):315-321,2012、Lancet Oncol 15(12):1389-1396,2014)

このため、日本における標準治療として、病期IIおよび病期IIIの患者さんを対象に再発予防のために抗癌剤治療を行うことがすすめられています。ただし、それぞれの治療のどちらが優れているかの比較はできませんので、それぞれの特徴を踏まえてよく相談して決める必要があります。

S-1療法

S-1(商品名:ティーエスワン)という抗癌剤を投与します。ティーエスワンを1日2回内服します。28日間(4週間)連続で服用し、その後14日間(2週間)服用を休みます。これを1サイクルとして繰り返します。この治療を全部で8サイクル(術後1年間)継続します。

毎月抗癌剤処方する前には診察と血液検査を行い、抗癌剤投与が可能かどうか判断します。また、抗癌剤治療は経過中に再発を認めた場合や、強い副作用が認められた場合は中止します。抗癌剤治療の継続を希望しない場合にも中止することが出来ます。

S-1療法

XELOX療法

カペシタビン(商品名:ゼローダ)という内服の抗癌剤とオキサリプラチン(商品名:エルプラットなど)という点滴の抗癌剤を組み合わせた治療です。オキサリプラチンを1日目に点滴し、カペシタビンを14日間内服します。その後7日間休薬します。これを1サイクルとして3週毎に8回(半年間)繰り返します。

XELOX療法

進行がん(局所進行切除不能例の治療)

残念ながら遠隔転移を認める場合には完治は望めません。治療の目的は延命・症状緩和になり、通常は手術を行うことはなく抗がん剤治療が主役となります。

手術治療について

局所再発(以前手術した部位にまたがんが発生した場合)に対しては再手術が可能な場合もありますが、通常は手術が困難な場合が多く薬物療法が治療の中心になります。また、胃がんは進行が比較的早いこともあり、転移巣に対する根治的手術を行うことはほとんどありません。ただ、完治が困難であっても、「食事がとれない」、「腸閉塞で吐いてしまう」 といった症状がある場合には、症状を改善するために手術を行うことがあります。ただし、この場合はかなり進行した状態ですので、手術のリスクも大きなものとなります。本人の体力や合併症などを十分に検討したうえで、適切な手術を検討しています。がんによる通過障害に対しては手術の他に、内視鏡でステントを留置することができる場合もあります。詳しくは外科・消化管内科でご相談ください。

放射線治療について

局所再発や転移した部位に対し、根治を目的とした放射線治療を行うことは通常はありません。出血や痛みなどがんによる症状を和らげるために放射線治療を行う場合があります。当院では放射線治療専門医によるトモセラピーを用いた治療が可能です。

薬物療法について

胃がんが再発・転移した場合には抗がん剤治療が治療の中心になります。抗がん剤には延命効果もありますが、副作用もあります。 ですから本人の体調に合わせて適切な治療法を選択することが大切です。 当院では80歳ぐらいまでの患者さんであれば、体調がよい方であれば治療を行っています。

胃がんの抗癌剤治療を行うに当たり、がんの性質を調べた上で薬剤を選択します。一部の胃がんの方ではがん細胞の表面にHER2という特殊なタンパク質が見られます。このHER2陽性胃がんに対してはトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)が有効です。この場合には通常の抗癌剤にトラスツズマブを併用して治療を行います。HER2が陰性の方ではトラスツズマブは使用しません。(ToGA試験 Lancet 376(9742):687-697,2010 )

毎回の抗がん剤治療の前には診察と血液検査を行い、その日の抗癌剤投与が可能かどうか判断します。また、抗がん剤治療は治療効果が得られず病気が進行した場合や、強い副作用が認められた場合は中止します。抗がん剤治療の継続を希望しない場合にも中止することが出来ます。オンコロジーセンターには専門の薬剤師がおりますので、副作用対策などお気軽にお尋ねください。

2〜3ヶ月に一度CT検査を行い治療の効果が得られているかを確認します。明らかに治療効果がなく、病気が進行する場合には投与する抗がん剤の種類や組み合わせを変更して治療を継続します。

抗がん剤治療の代表的な副作用をお示しします。

1.骨髄抑制
血液を作る骨髄がダメージを受けるため、白血球減少・貧血・血小板減少が見られます。これらにより抵抗力が低下し感染しやすくなったりすることがあります。
2.嘔気・嘔吐
シスプラチン、イリノテカンを用いた治療では強くでることがあります。特にシスプラチンは吐き気の強い薬剤として有名です。最近アプレピタント(商品名:イメンド)と呼ばれる新しい吐き気止めが発売され事前に薬剤を用いて予防に努めます。
3.粘膜炎
口内炎の他、結膜炎や下痢などの症状がでることがあります。塗り薬やうがい薬などで対処しますが、食事がとれないほどひどくなるときには抗がん剤をお休みしたり、減らしたりすることで対処します。
4.末梢神経障害
パクリタキセル、オキサリプラチンを使用した場合には手足の先のしびれがでます。オキサリプラチンの場合には特に冷水や冷気で誘発されます。抗癌剤の投与が増えるほど出現しやすく、症状も重くなると言われており治療開始5ヶ月で約半数の方に症状が出ます。休薬により半数の方は回復します。
5.脱毛
イリノテカン・パクリタキセル・ドセタキセルを含む治療ではある程度の脱毛が見られます。
6.下痢
イリノテカンを含む治療で多く見られますが、すべての抗がん剤治療で見られます。必要に応じ下痢止めを使用します。
7.倦怠感
イリノテカン・ドセタキセルを含む治療で比較的多く見られます。
8.浮腫
ドセタキセルを含む治療で比較的多く見られます。浮腫の予防のためステロイドを使用しますが、あまりにもひどい場合には投与を終始しなければなりません。

初回治療

初めて抗癌剤治療を行う場合にはこれから説明する薬剤を使用することが多くなっています。基本的にはプラチナ系薬剤(シスプラチン、オキサリプラチン)とフルオロウラシル(S-1、カペシタビン、5-FUなど)を組み合わせた治療が用いられます。

S-1+CDDP(SP)療法

S-1(商品名:ティーエスワン)という内服の抗癌剤と、 シスプラチン(CDDP:商品名ランダ、ブリプラチン、プラトシン) という点滴の抗癌剤を併用して投与します。 通常、ティーエスワンカプセルを1日2回内服します。 21日間(3週間)連続で服用し、 その後14日間(2週間)服用を休みます。 飲み忘れた場合は、次の服用時間に1回分服用してください。 絶対に2回分を一度に飲んではいけません。 ティーエスワンを内服し始めてから8日目にシスプラチンを点滴で投与します。 シスプラチンの点滴には副作用の予防のため数日間の入院が必要になります。

治療はこの5週間を1サイクルとして、効果が認められる限り継続します。(ただし副作用の観点から6サイクル程度を上限とすることが多いです。)毎回抗癌剤を投与する前には診察と血液検査を行い、 抗癌剤投与が可能かどうか判断します。また、抗癌剤治療は治療効果が得られず病気が進行した場合や、強い副作用が認められた場合は中止します。また、抗癌剤治療の継続を希望しない場合にも中止することが出来ます。

日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、54%の方で癌が30%以上縮小しました。これにより、癌に伴う症状の改善を期待することが出来ます。また、ティーエスワン内服単独の治療と比較し23%の死亡抑制効果が証明されています。

代表的な副作用としては悪心、嘔吐、倦怠感、下痢、色素沈着、胃炎、皮疹、流涙、骨髄抑制、腎機能障害(クレアチニン増加)などがあります。

(SPIRITS試験 Lancet Oncol 9(3):215-221,2008)

SP療法

SOX療法

S-1(商品名:ティーエスワン)という内服の抗癌剤とオキサリプラチン(商品名:エルプラットなど) という点滴の抗癌剤を併用して投与します。 通常、S-1を1日2回内服します。14日間(2週間)連続で服用し、 その後7日間(1週間)服用を休みます。1日目にオキサリプラチンを点滴で投与します。この3週間を1サイクルとして、効果が認められる限り継続します。この治療法は外来での治療が可能です。

日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、56%の方で癌が30%以上縮小しました。また、前述のS-1+CDDP療法と比較して、同等の死亡の抑制効果が証明されています。

SOX療法

XP療法

カペシタビン(商品名:ゼローダ)という内服の抗癌剤とシスプラチン(CDDP:商品名ランダ、ブリプラチン、プラトシン) という点滴の抗癌剤を併用して投与します。 通常、カペシタビンを1日2回内服します。14日間(2週間)連続で服用し、その後7日間(1週間)服用を休みます。1日目にシスプラチンを点滴で投与します。治療はこの3週間を1コースとして、効果が認められる限り継続します。(ただし副作用の観点から6サイクル程度を上限とすることが多いです。)シスプラチンの点滴には副作用の予防のため数日間の入院が必要になります。

海外で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、46%の方で癌が30%以上縮小しました。また、海外での標準療法であるフルオロウラシル+シスプラチン(FP)療法と比較して、同等の死亡の抑制効果が証明されています。

主な副作用としては悪心、嘔吐、食思不振、倦怠感、下痢、手足症候群、胃炎、骨髄抑制などがあります。

(Ann Oncol 30(4):666-673,2009)

XP療法

XELOX療法

カペシタビン(商品名:ゼローダ)という内服の抗癌剤とオキサリプラチン(商品名:エルプラットなど) という点滴の抗癌剤を併用して投与します。 通常、カペシタビンを1日2回内服します。14日間(2週間)連続で服用し、 その後7日間(1週間)服用を休みます。1日目にオキサリプラチンを点滴で投与します。治療はこの3週間を1コースとして、効果が認められる限り継続します。

この治療法は日本で行われた研究データはありませんが、海外の研究にて前述のSOX療法と比較して同等の効果が期待されることが報告されています。(Eur J Cancer48(4):518-526,2012)また、併用薬は異なりますがシスプラチンとオキサリプラチン、カペシタビンとフルオロウラシルがそれぞれ効果が同等であることが示されています。(REAL2試験 N Engl J Med 358(1):36-46,2008)これらのデータから、日本においても胃癌に対するXELOX療法が保険診療で認められています。

XELOX療法

XP+トラスツズマブ療法

胃がんの抗癌剤治療を行うに当たり、がんの性質を調べた上で薬剤を選択します。一部の胃がんの方ではがん細胞の表面にHER2という特殊なタンパク質が見られます。このHER2陽性胃がんに対してはトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)が有効です。この場合には通常の抗癌剤にトラスツズマブを併用して治療を行います。

前述のXP療法にトラスツズマブを併用するのがこの治療法です。カペシタビン(商品名:ゼローダ)という内服の抗癌剤とシスプラチン(CDDP:商品名ランダ、ブリプラチン、プラトシン) 、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)という点滴の抗癌剤を併用して投与します。 通常、カペシタビンを1日2回内服します。14日間(2週間)連続で服用し、 その後7日間(1週間)服用を休みます。1日目にシスプラチンとトラスツズマブを点滴で投与します。治療はこの3週間を1コースとして、効果が認められる限り継続します。(ただし副作用の観点から6サイクル程度を上限とすることが多いです。)シスプラチンの点滴には副作用の予防のため数日間の入院が必要になります。

海外で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、通常の抗癌剤のみで治療するものと比較しトラスツズマブを併用した方が病気の進行のリスクを29%、死亡のリスクを26%低下させることがわかっています。

主な副作用としては悪心、嘔吐、下痢、便秘、胃炎、腹痛、骨髄抑制、倦怠感、食思不振、手足症候群などがあります。

(ToGA試験 Lancet 376(9742):687-697,2010 )

XP+トラスツズマブ療法

SP+トラスツズマブ療法

HER2陽性胃癌の方に対して、前述のSP療法にトラスツズマブを併用するのがこの治療法です。(トラスツズマブのスケジュールに合わせるため、投与スケジュールの違いがあります。)

S-1(商品名:ティーエスワン)という内服の抗癌剤とシスプラチン(CDDP:商品名ランダ、ブリプラチン、プラトシン) 、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)という点滴の抗癌剤を併用して投与します。 通常、S-1を1日2回内服します。14日間(2週間)連続で服用し、 その後7日間(1週間)服用を休みます。1日目にシスプラチンとトラスツズマブを点滴で投与します。治療はこの3週間を1コースとして、効果が認められる限り継続します。(ただし副作用の観点から6サイクル程度を上限とすることが多いです。)シスプラチンの点滴には副作用の予防のため数日間の入院が必要になります。

日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、68%の方で癌が30%以上縮小しました。

(HERBIS-1試験 Br J Cancer 110(5):1163*1168,2014)

SP+トラスツズマブ療法

S-1単独療法

S-1とシスプラチンを組み合わせた治療が効果は最も高いのですが、 シスプラチンの副作用として腎臓に対する毒性があり、高齢者、心機能・腎機能の悪い患者さんではこの薬剤を使用することができません。またオキサリプラチンも末梢神経障害(手足のしびれ)やアレルギーを生じることがあり使用できないことがあります。この場合の治療の選択肢の一つとして、S-1(商品名:ティーエスワン)の内服のみ行う方法があります。 治療方法はS-1を1日2回内服します。28日間(4週間)連続で服用し、その後14日間(2週間)服用を休みます。(4週間連続して飲むことが困難な場合には2週毎に分けることもあります。) これを1サイクルとして繰り返します。この治療は効果が認められる限り継続します。

日本で行われたこの治療法の臨床試験で従来の標準治療であったフルオロウラシルの持続注射と同等の治療効果が証明されました。

(JCOG9912試験 Lancet Oncol 10(11):1063-69,2009)

S-1療法

二次治療以降

これまでに説明したプラチナ系薬剤を中心とした治療をしていても いつかは抗がん剤が効かなくなってきます。この場合には抗がん剤を変更して治療を継続します。当院でよく用いる薬剤は以下の3種類です。いずれの薬剤を使っても効果に大きな違いはありませんので、薬の特徴と患者さんの病状をみたうえで薬剤を選択しています。

パクリタキセル

パクリタキセル(商品名:タキソールなど)は 植物から半合成された抗がん剤で、胃がんのほかにも乳がん、肺がん、卵巣がんなどで広く使われています。吐き気が少なくQOLを維持しながら治療するのに使いやすい薬剤の一つです。代表的な副作用として、脱毛(カツラが必要になります。)や 手足のしびれがあります。手足のしびれはいったんひどくなるとなかなか治らないので注意が必要です。

パクリタキセルは週1回約1時間かけて点滴します。 点滴の成分にアレルギーを起こすことがあるため、 投与する前に必ずアレルギー予防の薬を使います。3回(3週間)点滴したら1回(1週間)やすむことを1サイクルとして、 効果がある限り続けて治療します。

日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、後述のイリノテカン療法と効果が同等であることが示されました。

(WJOG4007試験 J Clin Oncol 31(35):4438-4444,2013)

毎週PAC療法

パクリタキセル+ラムシルマブ療法

前述のパクリタキセル療法に分子標的薬であるラムシルマブ(商品名:サイラムザ)を併用した治療法です。ラムシルマブはがんの増殖に必要な毛細血管の成長に関わるVEGFRを阻害することで抗がん作用を示します。

パクリタキセルは週1回点滴し、3回(3週間)点滴したら1回(1週間)休薬します。ラムシルマブは2週間に一回点滴します。これらを1サイクルとして、効果がある限り続けて治療します。

日本と海外で合同で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、パクリタキセルのみで治療するものに比較して併用療法の方が死亡のリスクを約20%減少させることが示されています。また、27%の方のがんが30%以上縮小しています。

一方で、高血圧、鼻出血、タンパク尿といった従来の抗癌剤ではあまり見られない副作用があることが特徴です。

(RAINBOW試験 Lancet Oncol 15(11):1224-1235,2014)

PAC+RAM療法

ドセタキセル療法

ドセタキセル(商品名:タキソテールなど)は、前述のパクリタキセルと名前が似ていることからもわかるかと思いますが、 同じタキサン系と呼ばれるお薬です。パクリタキセルと同様に吐き気が少なく使いやすい薬剤の一つです。 代表的な副作用として、脱毛(カツラが必要になります。) やむくみがあります。

ドセタキセルは3週間に1回約1時間かけて点滴します。 パクリタキセルと比べアレルギーの頻度は非常に低くなっています。

効果がある限り続けて治療します。日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、約20%の方で癌が30%以上縮小しました。

(国内第II相試験 癌と化学療法 26(4):487-496,1999、癌と化学療法 25(12):1915-1924,1998)

DOC療法

アルブミン懸濁型パクリタキセル療法

アルブミン懸濁型パクリタキセル(商品名:アブラキサン)は前述のパクリタキセルを人血清アルブミン(体内にあるタンパク質の一つ)と結合させてナノ粒子化した薬剤です。パクリタキセルは元々水に溶けにくいため、従来の製剤はポリエチレンヒマシ油、エタノールを用いて溶かしていました。アブラキサンはぱくり滝説をアルブミンと結合させることにより生理食塩水に懸濁して投与することができるようになっており、アレルギーも少なくなっています。代表的な副作用として、脱毛(カツラが必要になります。)や 手足のしびれがあります。手足のしびれはいったんひどくなるとなかなか治らないので注意が必要です。

アブラキサンは3週間に1回約30分かけて点滴します。これを1サイクルとして、効果がある限り続けて治療します。

日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、 約28%の方で癌が30%以上縮小しました。

(国内第II相試験 論文未発表)

Nab-Pac療法

イリノテカン

イリノテカン(商品名:カンプトなど)は、植物から半合成した抗がん剤です。 胃がんだけでなく、大腸がん、乳がん、肺がん、 卵巣がんなどでも広く使われています。 代表的な副作用として下痢と骨髄抑制(抵抗力が落ちる、貧血になるなど)があります。 このお薬はあらかじめ患者さんの遺伝子を調べることにより、 副作用が強くでる人と出ない人を前もって知ることができる数少ない抗がん剤です。 当院では、イリノテカンを投与する場合には、患者さんの同意が得られた場合には遺伝子の検査(血液検査のみです。)を行い、あらかじめ投与量の調整を行うことにしています。 検査はすべて保険診療でできます。

イリノテカンは2週間に1回90分かけて点滴します。効果がある限り続けて治療します。

日本で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、約14%の方で癌が30%以上縮小しました。また前述のパクリタキセル療法と効果が同等であることが示されました。

(WJOG4007試験 J Clin Oncol 31(35):4438-4444,2013)

CPT-11療法

ラムシルマブ療法

前述のラムシルマブ(商品名:サイラムザ)はパクリタキセルとの併用だけでなく、単独でも効果が示されています。

ラムシルマブは2週間に一回点滴します。これらを1サイクルとして、効果がある限り続けて治療します。

海外で行われたこの治療法の臨床試験の結果では、無治療と比較して死亡のリスクを22%減少させることが示されています。

一方で、高血圧など特徴的な副作用が見られています。

(REGARD試験 Lancet 383(9911):31-9,2014)

RAM療法
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