2018年1月 | 【治療実績】 | 2017年に徳洲会の病院で胸肋挙上術を受けた漏斗胸、鳩胸の患者さんは55人でした。 |
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2017年12月 | 【記事掲載】 | 医学雑誌『心臓』(日本心臓財団)に論文「漏斗胸患者の胸部症状―冠攣縮性狭心症として加療を受けていた2症例を含めて」(飯田浩司、深井隆太 他)が掲載されました。(心臓 Vol.49 No.12 1219-1225, 2017) |
2017年11月 | 【学会発表】 | 第17回Nuss法漏斗胸手術手技研究会に飯田(2題)深井(1題)が発表しました。 |
2017年9月 | 【学会発表】 | 第70回日本胸部外科学会定期学術集会のSurgical Technique Session(ビデオセッション)において演題「漏斗胸に対するOpen Repairは時代遅れか?」を発表しました。 |
2017年6月 | 【学会発表】 | 18th Chest Wall International Group Annual Meeting のビデオセッションで演題 「Less invasive open surgical repair for pectus excavatum. 」を発表しました。 |
2017年5月 | 【学会発表】 | 第54回日本小児外科学会学術集会で「10歳以下の小児に対する漏斗胸手術の検討」(要望演題) 「Nuss法術後に胸肋挙上術を施行した2例」を発表しました。 |
2017年5月 | 【内容更新】 | ホームページを更新しました。 |
2017年3月 | 【学会発表】 | 第25回 Asian Society of Cardiovascular and Thoracic Surgery で「Open Surgical Repair for Pectus Excavatum under Eight Years Old」を発表しました。 |
2016年11月 | 【学会発表】 | 第78回日本臨床外科学会総会で「成人の漏斗胸に対する胸肋挙上術」を発表しました。 |
2016年11月 | 【学会発表】 | 日本循環器学会東海北陸地方会で演題『異型狭心症として治療されていた漏斗胸の2例』を発表しました。 |
2016年10月 | 【学会発表】 | 第69回日本胸部外科学会定期学術集会で2演題「漏斗胸に対すより侵襲が少ない手術の開発」「漏斗胸に対する胸肋挙上術前後の胸郭の変化に関する検討」を発表しました。 |
2016年8月 | 【記事掲載】 | 医学雑誌『小児外科』8月号(vol.48, No.8)の特集「最近の漏斗胸・鳩胸の治療」に論文「胸肋挙上術(Sterno-costal elavation: SCE)」が掲載されました。 |
2016年6月 | 【学会発表】 |
第53回日本小児外科学会学術総会、飯田発表 ビデオ発表「漏斗胸に対する胸肋拳上術の経験」が優秀作品に選ばれました。 |
2016年5月 | 【内容更新】 | ホームページを更新しました。 |
2016年5月 | 【学会発表】 | 日本呼吸器外科学会総会、飯田、深井発表 |
2016年5月 | 【学会発表】 | 日本小児外科学会総会、飯田発表 |
2016年5月 | 【記事掲載】 | 徳洲新聞(2016年5月9日)1030号 |
2016年4月 | 【ラジオ出演】 | 「ラジオサンキュー(84.5MHz)」 愛知県瀬戸市のコミュニティーFM局に出演 |
2016年2月 | 【記事掲載】 |
日本学校保健研修社『健』2016年3月号 先生の知りたい最新医学がここにある 「漏斗胸治療の最前線」 |
2016年4月 | 【学会発表】 |
24th Asian Society of Cardiovascular and Thoracic Surgery(アジア心臓血管胸部外科学会総会) 演題「Open Surgical Repair for Pectus Excavatum in Adults」発表 |
2016年4月 | 【学会発表】 |
第116回 日本外科学会定期学術集会 演題2題(飯田:口演、深井:ビデオ)発表 |
2015年11月 | 【記事掲載】 |
東山書房『健康教室』2015年12月号 Information PLAZA 「児童生徒にみられる胸郭異常」 |
2015年10月 | 【記事掲載】 |
日刊ゲンダイ(2015年10月20日 14面) 「有名病院 この診療科のイチ押し治療」 |
2015年8月 | 公開医学講座や病院内で配布するパンフレットを作成しました。 | |
2015年7月 | 【講 演】 |
第4回 徳洲会小児科部会症例発表会 「胸郭変形疾患の診断と治療」 |
2015年7月 | 【講 演】 |
神奈川県保険医協会 月例研究会 「胸郭の疾患 胸郭変形(漏斗胸・鳩胸)に対する手術」 |
2015年6月 | 【学会発表】 |
第58回 関西胸部外科学会学術集会 「高度な左右差を有するMarfan症候群の漏斗胸患者に対する異物を留置しない手術」 |
2015年6月 | 【学会発表】 |
第52回 日本小児外科学会学術総会 「異物を留置しない小児漏斗胸手術の検討」 |
2015年5月 | 【学会発表】 |
16th Chest Wall International Group 2015(第16回世界胸壁グループ) 「Nonprosthetic Repair for Pectus Excavatum.」 |
2015年5月 | 【学会発表】 |
23th Asian Society of Cardiovascular and Thoracic Surgery(第23回アジア心臓胸部外科学会総会) 「Nonprosthetic Repair for Pectus Excavatum in 305 Patients. 」 |
2015年4月 | 【学会発表】 |
第115回 日本外科学会総会 「低侵襲な小児漏斗胸手術の要件とは」 |
漏斗胸・鳩胸・胸郭変形について
※ 漏斗胸(ろうときょう funnel chest, pectus excavatum)
※ 鳩胸(はとむねpigeon chest, pectus carinatum)
※ 胸郭変形(きょうかくへんけい chest deformity)
はじめに
胸郭変形疾患とは漏斗胸、鳩胸など胸の形が変わる疾患の総称です。
漏斗胸という病名を知らなかった、胸の形が気になる、胸痛や呼吸困難など身体症状の原因が検査してもわからなかった、どの科を受診していいかわからない、など多くの問題があります。
胸郭変形疾患についての理解を広めるために、2001年にインターネットを用いた解説と情報の公開を始め、統計学的、医学的に正しい方法で検証したデータや文献に基づいた新しい情報をお伝えするために更新に努めております。
胸壁の異常について専門的な診察と治療を行うために2013年に日本で初めて胸壁外科外来を開設いたしました。私たちは金属などの異物を体内に留置することなく、合併症が少なく、痛みが続かず、10歳以下の小児にも無理なく施行可能な胸肋挙上術変法を開発、進化させて胸郭変形疾患を治療しています。
お読みいただいた後にメールでご質問頂ければお答え致します。
湘南鎌倉総合病院 胸壁外科 飯田浩司 vol. 12 2017.5.1
※「よくある質問と回答」は、こちらのページをご覧下さい。
漏斗胸・鳩胸とは
漏斗胸とは胸がくぼんでいる状態です。人口の400-1500人に一人、約4:1の比率で男性に多く認められ、はっきりした原因はわかっていません。私たちが手術した400人近くの患者さんの約半数にはご家族に漏斗胸・鳩胸の方がいらっしゃったことなどから先天的な要因が発症に関わっていると考えています。
肋骨は左右12対ありますがそのうち上から7対が前胸部中央の平らな骨、胸骨に達しています。肋骨の前方、胸骨と付着する部分から数cmの部分は肋軟骨という軟骨です。肋骨の間には肋間筋があり呼吸に重要な働きをしています。漏斗胸の方は胸を囲んでいる肋骨とその前方に続く肋軟骨が何らかの原因で長くなりすぎて歪みが生じて前胸部がくぼむと考えられています。くぼみの最深点は通常胸骨の下端付近です。また中央部の狭い範囲の陥凹だけではなく、左右が非対称な陥凹、広くて浅い陥凹、上胸部の突出や陥凹を合併していたり、左右の肋骨と腹部の境目の肋骨弓が突出していることもあり、胸の形は患者さんによって様々です。
出生直後から陥凹が認められる方が多いのですが、成長に伴って明らかになる方もいます。3歳以下の方は自然に治ることがあると言われています。軽度の場合は日常生活にまったく問題はなく、検査の異常もありません。陥凹が高度な場合でも、それ自体で生命が危険に陥り寿命に影響するような疾患ではないことが米国の研究でわかっています。
漏斗胸、鳩胸の方は痩せていることが多く、手術を受けた方の平均のBMI(肥満度の指数)は18.7と正常の下限でした。
成人の患者さんの60%以上には胸痛、動悸、息切れなどの症状があります。
漏斗胸による諸問題を改善するために私たちは手術を行っています。小児から成人までの広い年齢層の方に対して、短期間の入院で安全に良好な形が得られ、痛みが続かず、学業や仕事に影響せず、呼吸機能や成長に悪影響を与えない手術が求められます。できるだけ早くすべての活動を再開できること、重篤な合併症や形態の不良-いわゆる「失敗」がなく、全ての患者さんに同様な結果が得られることが手術の必要条件と考えています。
鳩胸は前胸部の骨が突出した状態です。漏斗胸の5%以下の頻度でみられます。健康に大きな影響はありませんが、洋服の上からでも分かるような大きな突出の場合は手術の対象になります。手術の方法は以下に述べる漏斗胸の場合とほとんど同じです。
漏斗胸の症状
小児期には症状が無い方が多いのですが、体重増加不良や風邪をひき易い、疲れやすさなどが生じることがあります。思春期以降は胸痛、動悸、胸部圧迫感、呼吸苦などの症状が出る方が増加し、成人では60%以上の方に何らかの自覚症状があります。漏斗胸の方は、胸壁が陥凹して心臓と広い面で接して、心臓と肺は圧迫されています。このため心臓の動きが胸壁に伝わってこれらの症状になると考えています。しかし症状がある方でも通常は心臓や呼吸の機能が正常値を大きく下回るようなことはありません。漏斗胸の方に胸痛などの症状があることは医師の間にも十分に周知されているとは言えません。心臓病を疑われたり、各種の検査で症状を説明できるような明らかな異常値がないために症状が放置されたり、「精神的な問題」とされたりすることがあります。症状のほとんどは私たちの方法で手術すると軽快します。
小学校に入学するころから自分と他人の違いを認識して前胸部の形が気になるようになります。このような精神的な症状を親御さんに相談できずにいるお子さんもいます。
漏斗胸に伴う検査の異常
漏斗胸の患者さんは、健康診断で異常を指摘されることがあります。
心臓が押されてつぶれたり、左側に移動したりするために、胸部レントゲン写真では心陰影が大きく見えたり、位置が変わり、心肥大などの診断を受けることがあります。また陥凹の影が肺炎のように見えることもあります。心電図では電極と心臓の位置関係がずれて波形が変わってしまうために右脚ブロックなどの異常を指摘されることがあります。除脈、頻脈などの心拍数の変化があることがあります。心雑音や心音の異常は心臓の位置の変化のために血液の流れが一部変化するためと考えられています。呼吸機能検査値の異常はわずかに低下します。しかし通常は日常生活に大きく影響するような心肺機能の異常ではありません。
どのような場合に手術の対象となるか
漏斗胸の程度の評価には様々な方法があります。しかし患者さんによって左右対称か否か、広く浅いか、狭く深いか、胸板の厚さなどの違いがあり、陥凹を数字で正確に表すことには限界があります。私たちは体表面からの簡便で被爆のない評価として、陥凹部分の容積が概ね患者さんの手拳の体積と同等以上である場合には手術を考えます。つまり患者さん自身の握り拳が胸に埋まる程度くぼんでいて、手術を希望する場合に手術を行います。また胸部レントゲン写真で心臓が左に変位している方や心電図異常を生じている方は心肺への影響が客観的に証明できると考えて手術を考慮します。3歳以下では自然に回復することがまれにあるため、3歳以上になったら手術を考えますが、一般的には小学校入学前後が最適時期と考えます。それは骨が柔らかく小さな傷から手術が可能であり、術後の形もきれいになること、集団生活の前で精神的な影響がまだ生じていないこと、患者さん自身が手術をある程度理解できて入院生活に適応できることなどからです。
私たちは外来受診していただいた患者さんに胸部CT(断層写真)を撮影して、数値化したり、定期的に撮影を繰り返したりすることはしません。CTは被爆量が多いので、特に子供さんに対する不必要な撮影は行いません。これは原発事故以前からの私たちの方針です。高校生以上の方では、症状を有することが多く、心臓や肺への影響が生じている可能性があるため初診時に胸部レントゲンと心電図の検査を行います。
また、受診していただいた方に強く手術をお勧めすることは致しません。生命にかかわる疾患ではないので、ゆっくり時間をかけて考えて結論を出してください。
手術の方法について
漏斗胸に対する手術は様々な方法が行われています。当科では、前方の肋骨、肋軟骨が長く急峻な角度で下方に向かうという漏斗胸の方の特徴に対して、肋軟骨の一部を切除して断端を再縫合する胸肋挙上術変法を行っています。これは和田(注1)らが2000例以上に施行した術式を独自に改良した方法です。この術式の特徴は、呼吸のために必要な胸の動きを妨げるような金属など異物による固定を行わず、切り詰めた肋骨の弾力によって胸郭を矯正、固定するという他の術式とは異なる力学的な原理に元づくことです。患者さんによって陥凹の形や骨軟骨の硬さが異なるため若干の変法を用いることもあります。
注1:故和田壽郎氏 札幌医科大学名誉教授 元東京女子医科大学教授著書「胸郭変形」(文光堂)などに術式の詳細があります。飯田の研修時代の恩師です。
胸肋挙上術(SCE)

男性では胸部正中縦の皮膚切開、女性では乳房下の曲線の横切開を行います。第3または第4肋軟骨から第7肋軟骨の一部を切除し(青色部分)糸で胸骨に再縫合します。上部胸骨を切断、翻転しないため創は小さくてすみます。胸骨の下端の陥凹が強い部分1-2cmを切除することによってさらに術後の形態が良好になり、年長者にもこの術式を適応できるようになりました。
5歳男性 胸部CT
我々の術式の特徴
短い単一の創から施行可能で、金属棒などの異物を使用せず、切除短縮し引き寄せて再縫合された肋骨・肋軟骨が元に戻ろうとする弾力が胸骨を両側から引きます(⇒)。その合力(⇒)が陥凹を上昇させ胸部は適度に固定されます。動かないように固定するのではなく、肋骨が両側から引く力が胸の中央を引き上げるという力学的な原理によって変形を矯正するユニークな方法です。胸骨前後に金属やセラミック、自己骨などを置いて胸を固定することはせずに元の通りの本数、順番で肋軟骨と胸骨を糸を使って再縫合します。胸郭は呼吸のために24時間動きます。胸腔内を広く保ち、呼吸による胸郭の動きを妨げないように切断端を縫合します。そのため手術終了直後から自分で呼吸することが可能で、肺炎等の重篤な合併症の危険が回避され、安静も短期間で装具等も必要ありません。術後の入院期間は1週間以内と短期間で済みます。呼吸機能に悪影響を与えません。左右の切除範囲を変えることで非対称な胸郭も良好に矯正可能です。また肋骨弓(肋骨の一番下の腹との境目)の突出もよく矯正されます。さらに矯正した骨性胸郭を剥離した筋層で覆う事によって筋の機能の維持、形態の改善を得るだけでなく、筋肉を介した血流を維持することにより感染の予防、早期治癒が期待できます。また皮膚の縫合には細い糸を用いてできる限り痕が残らないように工夫しています。手術の方法は必要に応じて改良を加えています。胸骨の下端を削ったり、胸骨の捻じれを取るために胸骨骨皮質に斜めの割線を入れたりする工夫によって、変形の強い成人に対しても胸肋挙上術ができるようになりました。難点は患者さんにより体型、変形の程度、骨軟骨の硬さに差があり、切除範囲を決めるために熟練を要する事です。
胸肋挙上術は胸骨上部に割線を要さないこと、肋軟骨をすべて再建する事、異物による固定を要さないことから従来ひろく行われていたRavitch法とは異なる術式です。
手術結果
1993年から2016年12月までに、3から56歳、平均15.1歳の377人の患者さんに手術を行いました。心臓手術を同時に行った方以外では輸血を要した患者さんはなく、術後の人工呼吸を要した方もありませんでした。つまり患者さんは手術室で目が覚めて自分で息をしながら一般病棟に帰ってきます。出血、固定の不良、再変形、肺合併症等理由の如何を問わず再手術や長期入院、長期の運動制限を要した方はいませんでした。
胸肋挙上術
6歳男児
術後(創長4.0cm)
高度な陥凹が改善し創は目立ちません
胸部レントゲン写真では心臓の影(中央の白色部分)が著明に小さくなりました
16歳男性
中央の陥凹が改善し、肋骨弓(左右の胸と腹の境目)の突出が消失しています
19歳男性
成人の体型の方でも胸郭の左右差、胸骨の傾きが著明に改善しました
成人女性
前胸部の陥凹が改善し、圧迫され平坦になっていた心陰影は手術後に球形に回復しています。また胸郭の左右差が改善し、胸郭の厚みも回復しています
成人女性
胸郭、乳房の左右差が手術によって著明に改善し、胸郭の前後径も増加しています
側湾・左右差の改善
術後は胸郭の厚みの左右差が消失しています
胸部レントゲン写真では心陰影が小さくなり、側湾症が改善しています。
術後の形態はすべての患者さんで良好で、入院期間や形態に大きな差はなく、肺炎や骨軟骨の感染、大量出血等の重篤な合併症は認めず、いわゆる失敗例はありませんでした。痛みは他の術式に比して少なく、小児では硬膜外麻酔は使用せず、4日目以降に痛み止めを要したお子さんはいませんでした。また退院した後に予定外の来院、治療を要するような合併症も認めませんでした。新幹線や飛行機で来院する方もいますが、最近の300人の手術後の平均入院期間は5.8日で、8日以上の入院を要した方はいませんでした。小児ほど傷が小さく、形態もきれいで、術後の回復も早い傾向があります。男性の前胸部中央の縦の創の長さは6歳以下で3.6±0.5cm、7-14歳では5.2±1.2cm、15歳以上では7.2±1.7cmでした。女性は乳房の下の横向きの下着に隠れて目立たない傷です。特殊なテープを傷に3-6か月間貼ることによって、ほとんどの方で創部の肥厚が予防できます。
9人の方は他院での手術で十分な矯正が得られずに、胸肋挙上術で再手術を行いました。
成人で手術前後の呼吸機能を比較すると、術前に明らかな異常な値はないために、術後の改善傾向はわずかでした。胸肋挙上術は呼吸機能に悪影響は与えません。呼吸のための筋肉を切ったり、胸郭を固定することにより術後呼吸機能が低下する術式もあります。
胸部CTでは陥凹が改善するだけではなく、胸郭の左右差は目立たなくなり、心臓への圧迫が取れて、つぶれていた心臓の影が丸くなります。また肋骨の走行が変わることによって胸郭の前後径が増加し、いわゆる胸板が厚くなります。肋軟骨の一部を切除しても胸の体積が小さくなることはありません。これらは200人以上のCTを手術前後で比較して明らかになった胸肋挙上術の利点の一つです。
小児では食欲が増加した、かぜをひかなくなった、疲れにくくなった等の改善を見ることがあります。成人では胸痛、呼吸困難などの症状を有した方のほとんどが改善しました。
胸肋拳上術に関する最近の論文
Nonprosthetic Surgical Repair of Pectus Excavatum. Annals of Thoracic Surgery 2006; 82: 451-6, H Iida, et al (注2)
小児に対する異物を留置しない漏斗胸手術 小児科診療 2007; 70: 513-7 飯田浩司、他
Surgical repair of pectus excavatum not requiring exogenous implants in 113 patients. Eur J Cardiothorac Surg. 2011; 37: 316-321 H Iida, et al (注3)
Surgical repair of pectus excavatum. (review) Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2010; 58: 55-61 H Iida (注4)
胸郭異常:漏斗胸の外科治療 専門医のための呼吸器外科の要点と盲点II 188-194 文光堂 (2010) 飯田浩司 (注5)
異物を留置しない漏斗胸手術 胸部外科 2011; 64: 1135-1140
胸肋挙上術 小児外科 2016;48:829-832
米国(注2)、欧州(注3)、日本(注4)それぞれの胸部外科学会の機関誌です。
(注5)呼吸器外科医のための教科書の漏斗胸についての章を執筆しました。
胸肋拳上術に関する2006年以降の学会発表(全国または国際学会から主なものを抜粋)
日本外科学会総会:2006年、2007年、2008年、2011年、2012年、2015年、2016年
日本胸部外科学会総会:2006年、2008年(優秀演題)、2010年、20011年、2012年、2013年、2016年
日本呼吸器外科学会総会:2009年、2014年、2016年
日本小児外科学会総会:2015年、2016年、2017年
European Association for Cardio-Thoracic Surgery(欧州心臓胸部外科学会):2008年、2014年
Asian Society of Cardiovascular and Thoracic Surgery(アジア心臓血管胸部外科学会):2012年、2015年、2016年、2017年
術後の生活について
手術の翌日から歩行や食事が可能です。4-5日目には痛みが和らぎ元気に動けるようになります。成人では痛みがやや続くことがありますが退院後には鎮痛薬が必要なほどの痛みはありません。装具などによる固定は必要ありません。1週間以内に退院が可能ですが、軟骨が癒合し元の強度になるには時間を要します。手術から4週間(退院後3週間)程度の自宅安静、さらに2ヶ月間(手術後3ヶ月目まで)の運動制限が必要です。通学、仕事の開始は手術後1ヶ月目ごろ、体育の授業、クラブ活動、重労働などは手術後3か月目から可能です。3ヶ月目以降に運動、行動の制限は全くありません。春夏冬の休み中に手術をするお子さんが多くいます。
長期の結果について
Ravitch法のような肋軟骨を大きく切除し一部の肋骨肋軟骨しか再建しない術式では、胸郭の成長を抑制することが散見されますが、我々の術式ではすべての肋軟骨を、その一部を残して再建するためそのような心配はありません。金属棒などの異物を留置しないのでそれがずれたり、摘出するための再手術は必要ありません。肋軟骨の一部を切除するので再度陥凹することもまれです。和田らの原法は30年以上の経験がありますが、長期的に重大な合併症はなく、再陥凹もまれです。
漏斗胸手術の歴史と他の術式について
漏斗胸手術は1911年にMyerによって初めて行われたとされています。その後肋骨や胸骨を切断、切除する方法、体外から胸骨を吊り上げる方法、異物で固定する方法など様々な術式が行われてきました。1940年代にRavitchによって開発された胸骨上部に割線をいれて肋軟骨を切除する方法は世界中で広く行われています。和田は1959年から胸骨翻転術を施行しています。1981年に和田らは、小児に対する胸肋挙上術を発表しました。これが当院の手術の源法です。
1998年米国の小児外科医Nuss らは金属のpectus barにより胸郭を内側から固定する術式を発表し、本邦でも近年行われています。この方法では通常は胸の正面に創が必要なく、骨軟骨を切らず、側胸部の肋骨の間から胸骨の下に金属棒を通して、その両端を肋骨の間に挟んで固定します。13-17歳を最適な対象年齢とし、それ以下の小児では再発が高率であること、18歳以上では合併症が増えることをNussは発表しています。合併症が10%程度と高率で合併症のための再手術や長期入院が散見されること、2-4年留置した異物を抜去するための再手術が必須なことなどが欠点であると考えています。成長するお子さんの胸を金属で固定することや呼吸の度に動く胸を固定することによる影響が明らかではないことなども欠点と考えます。さらにNuss法では多くの患者さんで数週間から数か月間にわたり強い痛みが続きそれに対する対策が問題になります。金属を留置している間の3-4年間は激しいスポーツはできません。現在本邦でもNuss法が広く普及しています。それは従来のRavitch法に比べて比較的簡単に施行できること、骨や軟骨を切らないことや前胸部に創が無いことが低侵襲であると考えられているからです。我々は合併症や痛みが少なく、すべての患者さんがより早く、完全に元の生活に復帰することこそが低侵襲であると考えています。そのためNuss法での手術は行いません。
また、Nuss法を含めてどの術式でも手術の熟練度が合併症の頻度や術後の形態に影響することが報告されています。
術後合併症の頻度
当院の方法(n=377)
輸血 | 0 |
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術後の人工呼吸 | 0 |
肺炎 | 0 |
血胸 | 0 |
気胸(ドレナージ) | 2(0.5%) |
創部感染(骨・縦隔) | 0 |
皮膚の感染 | 1(0.3%) |
皮下の浸出液貯留 | 2(0.5%) |
合併症に対する手術 | 0 |
退院後の疼痛 | 0 |
Nuss法(n=53-335) ※参考文献 1) - 6)
ドレナージを要する気胸 | 1.8-10.3 |
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皮膚感染 | 2.0-4.6 |
皮膚皮下の炎症 | 0.4-5.5 |
肺炎 | 0.7-0.9 |
Barの感染 | 0.7-7.5 |
Barの移動 | 3.6-8.8 |
心穿孔 | 0.4-0.9 |
心嚢炎 | 0.4-2.4 |
再入院を要する疼痛 | 2.9-3.8 |
血胸 | 0.9-1.0 |
一過性Horner症候群 | 71.6 |
合併症に対する再手術 | 4.1-11(%) |
- Nuss D et al, Pediatr Endosurg Inno Tech 2; 205-221, 1998
- Hebra A et al, J Pediatr Surg 35; 252-258, 2000
- Fonkalsrud EW et al, J Pediatr Surg 37; 413-417, 2002
- Croitoru DP et al, J Pediatr Surg 37; 437-445, 2002
- Park HJ et al, J Pediatr Surg 39; 391-395, 2004
- Watanabe A et al, Ann ThoracSurg 77; 296-300, 2004
成人の手術について
成人では、体の大きさに応じて傷が大きくなること、硬い骨や軟骨を操作するため術後の形態がやや劣ることなどから小児期の手術が望ましいと考えます。しかし成人の漏斗胸患者さんの半数以上が症状を有するため放置はできません。当院の方法を用いれば思春期以降の方、成人にも手術が可能です。当院で手術を受けた方の平均年齢は約15歳です。つまり約半数は15歳以上の成人の体型の方でした。我々は手術に改良を加えて、成人の高度に左右非対称な陥凹に対しても十分な矯正が得られるようになってきました。成人女性で右側の胸壁の陥凹によって乳房に左右差がある方に対しては、乳房下の目立たない切開によって左右差が改善します。しかし、30歳を過ぎたころから軟骨の石灰化が進んでもろくなり手術は難しくなります。
費用について
漏斗胸の診察、手術は健康保険が適応され自己負担は30%です。18歳未満で心臓や肺が陥凹によって圧迫されて機能障害が生じている方は都道府県に自立支援医療の申請をすると、費用の原則として90%が公費でまかなわれます。また小児の入院費は自治体による補助制度があります。住居地の保健所などにご相談ください。
※ 「よくある質問と回答」は、下記をご覧下さい。
スタッフ紹介
飯田医師 | 深井医師 |
飯田 浩司
外科学会専門医・指導医、心臓血管外科専門医・修練指導者
深井 隆太
外科学会専門医・指導医、呼吸器外科専門医・評議員
よくある質問と答え
【Q1】私は手術を受けた方がいいでしょうか?手術を受けた方がいいと判断する基準は何ですか?
陥凹の程度や位置だけでなく体型も患者さんによって違いがあります。そのため計測値から一概に判断することには無理があります。小児に安静が必要で被爆量が多いCT検査を初診時に行うことは回避したいと考えています。患者さん自身の握り拳が埋まるよりも大きな陥凹、というのが我々のおおよその基準です。診察によって陥凹の程度を判断いたします。胸痛、呼吸の苦しさ、疲れ易さなどの症状や、精神的な影響も手術を考慮する要素になります。成人の方のごく軽度の陥凹で、心電図や胸部レントゲン写真で心臓や肺が圧迫されている所見がなければ、形態の画期的な改善は望めず、今後も機能障害が生じる可能性は低いと判断して手術の対象にはならないことがあります。
【Q2】どのような手術方法、病院、医師が良いのでしょうか?
漏斗胸に対する術式は種々あります。私たちの考え方は本文にも記しましたが以下の通りです。
漏斗胸手術は、強い症状がなく、運動制限もない子供さんに施行する事が多い手術です。そのため長期入院を要したり、生命に危険が及ぶような合併症が起こらないことが必要条件です。少ない割合であっても「失敗」がある術式は漏斗胸手術として適切ではないと考えています。術後長期にわたる運動制限や装具が必要になるのは子供さんにとってつらいことです。胸肋挙上術は1週間以内に退院可能で、4週程度で通学が可能です。術後3ヶ月目以降は全く運動制限がありません。また退院後に痛みが続かないことも胸肋挙上術の特徴です。
うまくいかなかった場合の再手術、予定しての再手術も子供さんにとってつらい経験となると考えています。当院の術式では再手術は必要ありません。また異物が入っているという精神的な負担もありません。
胸肋挙上術は小学校に入学して精神的な影響が出た可能性があるお子さんをある年齢まで待たせることは致しません。また成人の方でも40歳程度までであれば、年齢を理由に手術をお断りすることはありません。
子供さんは成長します。そして胸は呼吸のたびに動く臓器です。この動きをいかに残して矯正するか、呼吸機能と成長に影響を与えないで漏斗胸を直すことが我々の目標です。我々の考える低侵襲とは合併症がないこと、失敗なくすべての患者さんに同様の結果が得られること、入院が短い事、再手術がないこと、痛みが続かないこと、術後長期の運動制限が無いこと、術後呼吸機能に異常が残らないこと、成長を妨げないことなどです。傷の位置の問題も低侵襲としての要素ではありますが、より大切なことが上記の事であると考えます。我々は手術によって肋軟骨を切って再縫合することと、長期間胸郭を金属で固定する事を比較して前者がより低侵襲であると考えています。たとえばスポーツ選手になるという将来の夢のためにがんばっているお子さんを何年間も夢から遠ざけることは大きな侵襲であり避けなければならないと考えています。
【Q3】低侵襲手術とはなんですか?
手術による悪い影響(=侵襲)が少ない手術が低侵襲手術です。たとえば、小さな穴のような切開から手術をしても、手術の質が落ちて結果が不完全だったり、また合併症が多かったり、痛みが続いたりすれば、それは低侵襲手術ではなく、「切開が小さい手術、傷が目立たない手術」に過ぎないと考えています。傷の位置、大きさ、何を切るか、異物を用いるか否かなどは、侵襲を小さくするための手段でありますが、それ自体が侵襲を評価する指標ではありません。すべての患者さんが、合併症なく、早期に、運動制限なく、元の生活にもどり、そのままずっと元気でいることが、我々の考える低侵襲手術です。そのために私たちは小さな創から、異物を留置しない漏斗胸手術を行っています。
【Q4】胸肋挙上術とNuss法との違いはどのような点ですか?
Nuss法では金属棒を使って陥凹を後ろから押しだして固定しますが胸肋挙上術ではご本人の肋骨の弾力で引きあげます。
Nuss医師は13-17歳の患者さんが手術に最適であると発表しています。胸肋挙上術は小学校入学前や低学年の患者さんに対して特に良好な形に矯正することが可能です。2016年末までに10歳以下の方149人が胸肋挙上術を受けられて、問題となる合併症はありませんでした。小学生になると胸の形を気にするお子さんが増えますが、精神的な影響が大きくなる前に手術する事が可能です。
Nuss法では数週間から数か月痛みが続きその対策が学会等でも論じられています。胸肋挙上術では約6日で退院して、その後は痛み止めが必要な痛みはほとんどありません。特に子供さんは痛みが早く消えます。活動の制限が短く、再手術が必要ないのも胸肋挙上術の利点です。3か月目以降はすべての活動に制限はなく、サッカーや水泳、バレエなども可能です。合併症が少ないのも胸肋挙上術の利点です。約400人の方に行って重大な合併症は起きていません。Nuss法では側胸部の創から手術しますが、胸肋挙上術では前胸部に創がつきます。Nuss法でも前胸部に創が必要な変法があります。
胸肋挙上術とNuss法を比較してから手術を決めていただくようにお勧めしています。どのような手術法でも漏斗胸手術には経験がとても重要です。典型的な写真などで判断せずに、おおむね100人程度以上の手術を行った経験を有し、手術を受けるのに最も適した年齢、合併症の頻度、疼痛が遷延する頻度とその対策、すべての運動ができるのはいつからか、などを明らかにしている信頼できる医師に相談してください。
【Q5】どのくらいの期間で手術できますか。手術後に生活の制限はありますか?
胸肋挙上術では手術の1-2日前に入院していただき、手術翌日には歩行可能です。平均して6日で退院できます。退院直後に飛行機、新幹線等で遠くのご自宅に帰ることも可能です。退院後には痛みはほとんどなく、ほぼ術前の元気さに戻りますが、軟骨の癒合が十分な強さになるまで退院後約3週間の自宅安静が必要でその間は登校、勤務ができません。体育の授業、スイミング、ジャングルジムや自転車など胸を打つ危険があること、重量物の運搬などは3ヶ月ほど避けてください。3ヶ月目以降はまったく制限はありません。最近約300人の患者さんで術後8日以上の入院を要した方、3か月以上の運動制限を要した方はいません。
【Q6】どのくらいの費用で手術できますか?
漏斗胸の診察、手術は健康保険の対象で、3割が自己負担です。かかりつけの病院がある場合には紹介状をお持ちいただくと初診料が割安になります(厚生労働省の取り決めです)。ほとんどの自治体では小児の入院費を負担してくれますがその年齢の上限は自治体によって異なります。18歳未満で心臓、肺が圧迫されて機能障害を生じている方は自立支援医療(育成医療)の対象になり原則として90%が公費で負担されます。成人の方は収入によって自己負担額の上限がきまっていてそれを超過した分は高額医療として補助されます。この上限額は職場(社会保険)や自治体(国民保健)の担当者にお尋ねください。当院の手術方法では胸郭固定用の金属棒の材料費(約18万円)、内視鏡使用の加算(約10万円)分の医療費がかかりません。また入院期間も短いため、特に成人で30%を自己負担していただく場合には他の術式と大きな違い出ます。また異物除去のための再入院再手術も不要です。(保険制度、公費補助制度は変更される可能性があります)
【Q7】近所に専門医がいますか?
残念ながら漏斗胸の手術により重篤な合併症が起きたとの報告も散見されます。本文で述べたような漏斗胸に関する知見は医師の間にも周知されているとは言えません。「漏斗胸は命にかかわる疾患ではないから手術はしないほうがよい」という考え方の医師もいます。漏斗胸を専門とする医師は多くはありません。漏斗胸の診察、手術には経験が極めて重要と考えます。一生に一度の手術ですので経験豊富な信頼できる医師を探すことをお勧めします。私たちは帯広徳洲会病院、札幌徳洲会病院、岸和田徳洲会病院、福岡徳洲会病院、沖縄南部徳洲会病院、沖縄中部徳洲会病院、喜界徳洲会病院などでも診察を行います。ま た飯田は名古屋徳洲会病院でも胸壁外科の診察と手術を行っています。詳細はメールでお問い合わせください。
【Q8】希望の期日に手術を受けたいのですが?
1週間程度の幅をもって手術時期のご希望をお伺いたします。学童期の方にはなるべく春夏冬の休み中の手術を考えています。7月中旬から8月中旬までは学童、生徒を優先いたします。夏休みに手術をご希望の方は例年4月1日以降に外来を受診していただいた方から順に予約していただきます。夏休み以外は手術をご希望する1ヶ月程度前であればご希望をうかがいます。
【Q9】女子医大の方法は古くて侵襲が大きいと言われました。胸肋挙上術は他院では行っていないのでしょうか?なぜ普及しないのでしょうか?
胸肋挙上術の原法は1981年に東京女子医科大学第一外科(現呼吸器外科)で開発され小学生以下の患者さんに行われていました。当時は中学生以上の患者さんには胸骨翻転術が行われていました。1980年代には年間200人以上の患者さんが手術を受けていたことや、これらの方法は高名な和田壽郎教授が開発した方法であることなどから、多くの医師の記憶に残っています。しかし体型や陥凹の形の個人差、年齢等による胸郭の可塑性の差が大きいので、熟練が必要であり、次第に行われなくなりました。胸肋挙上術に改良を加えて原法をはるかにしのぐ良好な結果を得ています。最近の10年間で20回以上の学会発表を全国または国際学会で行い普及に努めています。また、日本、米国、ヨーロッパのそれぞれの胸部外科学会の機関誌にその論文が採用されており、改良された胸肋挙上術変法は世界的に認められた方法です。学会発表や論文には審査があり、それを通った論文だけが発表されます。しかし20年以上前の方法と混同する方がいまだにおられますので、今後も普及に努めていきます。
【Q10】術後の通院はどのくらい必要でしょうか?
原則として術後1週間程度で退院した後は、約1週間後(術後2週目)、3週後(術後4週)、3ヶ月、6ヶ月、1年後の5回です。3回目以降は学校の休み等に合わせて前後させることが可能です。
【Q11】入院中の付き添いはできますか?家族を呼ぶ必要がありますか?
ご自宅が遠い方が多いので、原則として中学生以下の方には付き添いをお願いしています。小児病棟は付き添いが可能です。また成人の方では手術の前に成人したご家族にも手術の説明をいたします。
【Q12】他の病気で通院中です。
喘息の方は、手術前1か月以上は喘息発作が起きていないことが必要です。内服、吸入薬は入院時にご持参ください。感染症などの治療可能な病気は、治療してから漏斗胸の手術を行います。長期に渡って内服治療を続けている疾患がある方は術前にご相談ください。入院前後は、インフルエンザなどの感染症にご注意ください。成人の方では肺合併症を防ぐために、術前1か月以上禁煙していただきます。
【Q13】手術時間はどのくらいかかりますか?
小児の場合は2時間ほど、成人の方はすこし長くなります。現在では麻酔が安全に施行できますので極端に手術時間が長くない限り、手術時間の長短はあまり気にする必要はありません。
【Q14】手術を受けるべきかどうか迷っています。手術を受けるつもりはありませんが診察を受けたいです。
胸郭変形疾患について診察し、正確な情報をお伝えする事が私たちの使命と考えています。そのために今までの患者さんのデータを整理し、統計学的、医学的に正しい方法でまとめて学会などに発表しています。このような経験に基づいて診察してお話しいたします。手術を強くお勧めすることはありませんので、手術を希望されない方でも受診して下さい。今までに0歳の乳児から82歳までの患者さんがご来院されました。
【Q15】手術を受けた患者さんのお話しが聞きたいのですが?
私たちの方法で手術を受けた方にはご満足をいただいております。しかし特定の患者さんやご家族の感想を公表することは医学的に偏ってしまう可能性もあり差し控えます。ブログなどで公表されている方もいらっしゃいます。
【Q16】ネットには〇〇と書いてありましたが?
インターネットには玉石混交の情報があります。医療情報サイトは医師や病院から掲載料を取る場合と広告料で運営している場合があります。いずれにしてもサイトの収入のためになる情報が選ばれている可能性があります。匿名の情報は真偽を確かめようがありません。以下のようなサイトは信用ができる可能性が高いと考えています。
- 責任者がはっきりしている。
- 個人的な感想などではなく、信頼できる医学論文を引用したり、過去の治療の効果を統計学的手法に基づいて分析して、効果だけではなく合併症など欠点も述べている。漏斗胸手術の場合は痛みが続く頻度や期間なども述べている。
- 十分な治療実績がある。漏斗胸手術には十分な経験が必要です。
- メール等で質問ができる。
【Q17】湘南鎌倉総合病院の受診方法は?
神奈川県鎌倉市にあり、最寄駅はJR大船駅です。交通手段等は病院のホームページをご覧ください。
漏斗胸、鳩胸を担当する胸壁外科の外来は第2、4金曜日の午後です。電話(代表0467-46-1717)で胸壁外科外来に連絡して予約してからご来院ください。ご予約いただければ十分に時間をとってお話いたします。かかりつけの病院が無い方は紹介状はいりませんが、紹介状が無い場合には厚生労働省の取り決めで初診料が若干高くなります。外来、入院中の診察は飯田浩司、深井隆太を中心として行います。
【Q18】名古屋徳洲会病院の受診方法は?
愛知県春日井市にありJR中央線高蔵寺駅北口から徒歩5分ほどです。ご都合に合わせて診察時間を調整することも可能です。電話(0568-51-8711)で心臓外科・胸壁外科外来に連絡して予約をしてからいらしてください。
【Q19】質問
電話では十分に時間をとってお答えすることができません。メールでご質問いただければお答えいたします。(専用アドレス)
このメールは飯田に直接届きます。数日以内にお答えしておりますが、PCや携帯電話の設定によっては当方からの返事が迷惑メールに分類され届かないことがあるようです。特に携帯電話の方はご注意ください。また一度受診された方は、患者さんのお名前、性別、年齢、診察券の番号をメールに記していただければ、より正確にお答えできます。
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